Column Vol.1 "EGG EATER"

 

 

"EGG EATER"

卵のみを食べるヘビは大きくアフリカとインドに生息する2属に分類されます。今回モチーフとして取り上げたのはアフリカ大陸に生息するタマゴヘビ属です。

オリジナルテキスタイル"EGG EATER"では、巣をのぞき込み、卵を飲み込む対のタマゴヘビ2匹を表現しました。繋ぎの金具は南アフリカを象徴する花、大輪のキングプロテアと食後の卵の殻がモチーフとなっています。

 

 

■ 強さの象徴 キングプロテア

南アフリカを中心に100種以上が分布するプロテア。中でも王冠のように花開くキングプロテアは南アフリカ共和国の国花として愛されています。

プロテアの種は山火事などで高温で焼かれることで固い殻から種子を放出し、炎に焼かれて何もなくなった大地に芽を出します。深刻な山火事の後でも優雅に再生するため、アフリカでは変化と希望の象徴とされることもあります。

過酷な生存競争を生き抜く為に独特の進化を遂げたタマゴヘビとプロテアの花。生息地であるアフリカを象徴するモチーフとして、困難に立ち向かう人の勇気に寄り添う1着となるよう想いを込めて描きました。

 

■ 鳥の卵のみを食べるヘビ

タマゴヘビは無毒で、アフリカ大陸全域の森林や低木地帯に生息しています。夜行性で日中は岩の下や木の中で過ごし、夜は地面や木の上で鳥の卵を探して狩りをします。黒、茶、緑など幅広い模様と色のバリエーションを持ち、大きさも種により30㎝~100㎝前後とさまざまです。

タマゴヘビは人が頻繁に通る可能性のある場所を避けるため、人間に脅威を与えることはありません。

 

タマゴヘビは頭の3倍ほどの大きさの卵を飲み込むこともあり、とても柔軟な顎と首を持っています。タマゴヘビには歯がなく、丸ごと飲み込んだ卵を喉の筋肉と背骨の内側にある突起で押しつぶし、卵の中身だけを飲んだ後で、殻を吐き戻します。

タマゴヘビは卵から多くの栄養素を吸収し、数週間から時には数ヵ月以上何も食べずに過ごすこともあります。また、タマゴヘビは卵の匂いを嗅ぎ分けることができ、腐った卵や消化が難しい卵は選びません。産まれたばかりの小さなタマゴヘビは、その地域で最も小さな鳥類の卵を食べて育ちます。

 

爬虫類の中でも恐怖心や苦手意識を持つ人が多いヘビですが、人との関わりにおいては神や悪魔の使いとされてきた歴史もあり、その生態も幅広く興味深い生き物です。今回のテキスタイルではそんな彼らに想いを馳せ、わたしたちと同じ地球に2000種以上存在するヘビの中から、少し変わった一種をとりあげました。

 

※ヘビの中には毒を持つ種類(ニホンマムシ・ヤマカガシ等)もいます。見かけても騒いだり、むやみに近付いたりせず、そっとしておきましょう。